朝井リョウ『正欲』を読んで「多様性」と「お客様」について考えた
久しぶりに長編小説を読みました。
朝井リョウさん、ご存知でしょうか?まだ31歳と若手の小説家さんです。デビュー作「桐島、部活やめるってよ」の映画化で有名な方ですね。
最近読んだ小説のタイトルは、正しい欲と書いて「正欲」。
読み始めたきっかけは、ツイッターで立て続けに知り合いの感想を目にしたからです。読む手が止まらなかった、と。
本の帯にはこう書かれています。
「読む前の自分には戻れない」
ドキッとしますよね〜。
多様性という言葉を捉え直すきっかけに
実際に読んでみて、その意味がとても良く分かりました。
この小説のテーマは「多様性」ですが、自分がいかに狭い範囲でこの言葉を使っていたのかを思い知らされました。
たとえばジェンダーの話にしても、私が思う「多様性」は想像できるごくわずかな部分でしか定義できていません。
誰かを愛する、その対象が異性であるのか同性であるのか、その人自身が男性なのか女性なのかどちらでもあるのかないのか、など。
でも、この小説にはいわゆる「マイノリティ」と呼ばれる層にも入れない人々が出てきます。
たとえば、性愛の対象が人間ではなかったりするんですね。
そんな人たちがどのような気持ちで暮らしているのか。いかにマジョリティとされる人たちが無知で無神経なのか。
本を読み終えて、価値観が変わったというより広げてもらった、が近いです。そういう意味で、「読む前の自分には戻れない」は正しい帯でした。
長編小説、昔はよく読んでいましたが子供が生まれて以降は遠ざけていました。ただでさえやることいっぱいなのにのめり込んじゃうので、他の作業ができなくなったり、睡眠不足になったり絶対になるとわかっている…。で、まんまとそうなりました(笑)
でも、やはり物語の威力は抜群ですね。心の深いところに刺さった感覚。読んでよかったです。
お客様の悩みも課題も多様である
ライティングの話に置き換えてみると。
発信の土台を築くとき、記事を書くとき、
「お客様を想像する」とか「読者の気持ちを考える」とかよくお伝えしていますが、真の意味でニーズを100%掴むとかきっとありえないのでしょうね。
悩みも、痛みも、その人だけのもの。
ターゲットを想像して!と言われても、ただでさえ難しいのに。完全に理解するのは不可能です。
だからこそ、「わかった気分」になってはいけないなぁと自戒しました。
お客様の数だけ、悩みや痛みもあり、背景も環境もぜんぜん違う。その当たり前の事実を改めて心に留めておこうと思います。
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